クリストフ・ルメールとミルコ・デムーロの違いを徹底比較!勝率や年収が良いのはどっち?2人の仲も一緒に検証!
2015年に史上初の外国人騎手として、2人揃ってJRAへの移籍を果たしたクリストフ・ルメール騎手とミルコ・デムーロ騎手。以前から日本でも名の知れた2人でしたが、移籍以降は完全に日本競馬界での中心的な存在となりました。今回はその2人の違いや移籍後の数字を検証してみます。
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兄弟も騎手なのはどっち?共通点と違いについて
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※右がルメール騎手,左がデムーロ騎手
2人を比較するにあたり、まずはしっかりと区別をつけなければいけません。ということで、ここではそれぞれの共通点と違いを簡単に説明していきます。
最初に共通点ですが、2人とも同じ1979年生まれであり、父親が騎手でした。そして、2015年には揃ってJRAへの移籍を果たしています。とはいえ、目立った共通点はそれくらいであり、それ以外は全然違います。
生まれた国はルメール騎手がフランス、デムーロ騎手はイタリアで、最初に騎手免許を取得したのはそれぞれの出身国でした。JRAでの初騎乗はルメール騎手が2002年、デムーロ騎手が1999年で、初騎乗をした年で見れば、デムーロ騎手のほうが少し先輩になるでしょうか。また、デムーロ騎手には弟のクリスチャン・デムーロ騎手がおり、短期免許を利用して日本でも活躍していますが、ルメール騎手には騎手の兄弟がいません。
また、性格的には真面目なルメール騎手と、陽気なデムーロ騎手、というイメージが日本の競馬ファンのなかでも定着しているのではないでしょうか。もっとも、実際のところルメール騎手は少しシャイなだけで、実はお茶目な性格だったりします。
ルメール騎手の所属している関西騎手クラブでは毎年新年会が行われるのですが、その場でルメール騎手は毎回皆を楽しませるような出し物を考えて来るそうです。リーディングの座だけではなく、関西の宴会部長である和田竜二騎手のポジションも密かに狙っているのかもしれませんね。
勝率の比較から見えるお互いの特徴
馬券を買うファンであれば、1番気になるのが2人の勝率の比較でしょう。2人がJRAに移籍してからの2015年と2016年の勝率は、ルメール騎手が0.195と0.237、デムーロ騎手が0.185と0.178であり、どちらもルメール騎手が上回っています。
ルメール騎手は移籍後毎年JRA最高勝率を受賞していますし、2016年に記録した0.237という勝率は全盛期の武豊騎手と比べても遜色ないほど優秀な数字なので、単純な比較だとデムーロ騎手には少し分が悪いかもしれません。
しかし、G1レースに限れば立場は一気に逆転します。移籍後2年間のG1レースでの勝率はルメール騎手が0.05、0.200、デムーロ騎手は0.235、0.210であり、どちらもデムーロ騎手が上回っているのです。もっとも、ルメール騎手の1年目の数字は悪すぎる気がするので、参考データとしては微妙なところですが、デムーロ騎手のG1レースでの安定感は良くわかると思います。ルメール騎手が年間を通して安定して勝ち星を挙げているのに対し、デムーロ騎手は大舞台で特に強さを発揮するタイプのようですね。
タイプの違いから見える年収の差を比較
勝率の次に、ファンとして気になるのは年収ではないでしょうか。ここではJRAに移籍してからの2人の年収を比較してみます。とはいえ、完全な数字は本人でもない限りわからないので、今回は2人のレースでの収得賞金からの比較となります。
まずルメール騎手ですが、2015年は22億3千万円、2016年は40億4千万円の優勝賞金を得ており、騎手の取り分である5%で計算すると、それぞれ1億1千万円、2億円程度をレースだけで稼いでいることになります。
次にデムーロ騎手ですが、2015年は28億円、2016年は31億6千万円で、取り分はそれぞれ1億4千万円、1億6千万円程度になります。ここで勝利数を見てみると、2016年はルメール騎手がデムーロ騎手より50以上多く勝っているので、約4千万円の差があるのもわかりやすいのですが、2015年はルメール騎手がデムーロ騎手より6勝少ないだけにも関わらず3千万円程の差が出てしまっています。この差がまさに、デムーロ騎手の大舞台での強さを物語る数字とも言うべきで、勝率の件で述べたG1での勝率の高さが大きく関わってきます。
というのも、G1レースは格式ももちろんのこと、優勝賞金も他のレースと比べて桁違いに多いので、1つ勝つだけでも収入に大きな違いが出てくるのです。だからといって、ルメール騎手が大舞台に弱いというわけではなく、平場のレースも勝ち続けながら、重賞などの賞金が多いレースでもしっかりと結果を残していますから、2016年には最多賞金獲得騎手の表彰も受けています。また、2017年は11月末時点でルメール騎手とデムーロ騎手が獲得賞金額でトップを争っており、の差も1億円程度なので、リーディング争いと共に最後まで熱い戦いが期待できそうです。
仲悪いという噂はないけど、すごく仲良しというわけでもない?
引用元:競馬検証.com
ここまで2人の成績や年収を比較してきましたが、では2人の関係はどうなのでしょう。
40近くの男性2人に仲良い、悪いという表現が適当かはわかりませんが、2人揃ってのテレビ出演やメディアへの露出も多く、そこでの息の合ったやり取りなどを見る限り、関係は良好のようです。お互いに家族がいるので、プライベートでも常に一緒というわけではないと思いますが、競馬場に足を運ぶとレース前のパドックで会話しているシーンは多く見られます。
とはいえ、レースとなればどちらも自分の馬の勝利のために最善を尽くす必要があるので、仲良しなだけではやっていけませんし、フランスとイタリアという違いはあるものの、ともに初の外国人として日本の競馬界に入ってきたのですから、戦友という表現が一番しっくりくるかもしれませんね。
2人が活躍すればするほど存在感が増す武豊騎手
引用元:coco’s BLOG
最後は少し色が変わりますが、2人と武豊騎手との関係を挙げてみます。まずこれはルメール騎手とデムーロ騎手の2人に共通して言えることなのですが、どちらも武豊騎手を慕っています。特にルメール騎手は、武騎手と一緒にいるときは常に隣のポジションにいる気さえしますね。そして、レースになると2人とも武騎手と近い位置取りをすることが多く、武騎手が抜けてきたさらに後ろから交わしてゴールするという場面もよく見られます。
レース中のポジションは馬の脚質によっても変わってくるので、毎回そうしているわけではありませんが、特に大きなレースになればなるほどこうした傾向は強くなっている印象があります。もちろんこれには理由があり、武騎手の近くにいることが勝つ為の最善のルートを見つける一番の近道だということが2人にはわかっているからでしょう。こう言ってしまえばみんなが武騎手の周りにいれば良い気がしますが、これはあくまで勝てる力のある馬に騎乗しているときに使える戦法なので、全ての馬に当てはまるものではありません。
ルメール騎手とデムーロ騎手は勝てる力のある馬に騎乗する機会も多いので、よりこういった場面が目立つのだと思います。これは以前武騎手も言っていたことですが、道中は上手い騎手の後ろにいれば安心できるそうです。
というのも、騎乗が上手ければ前方で予想外の動きをすることも少ないですし、馬群をさばく時も無理のない場所をスムーズに通っていくので、最後の直線を向くまでに余計な脚を使うことが少なくなるのです。簡単にいえば、上手い騎手にゴール直前までエスコートしてもらい、最後にその騎手も交わすという乗り方ですね。
毎回のように目標にされる武騎手からすればたまったものではないでしょうが、それだけこの2人が武騎手の騎乗を信頼しているということでもあります。
2人が移籍してからいくつかJRAの記録を打ち立てましたが、JRAの騎手記録は未だほとんど武騎手の名前が載っているくらいですから、2人の信頼も当然と言えるかもしれません。2017年も大きなレースになればなるほど、武騎手を含めた3人が毎回中心となっていますが、それが良いことかといえばまた違ってくると思うので、他の騎手にも奮起を期待したいですね。